2018/09/10
NYファッションウィーク:原点回帰のデザイナー多数
2018/09/10
今季のニューヨーク ファッションウィークも中盤戦を過ぎたが、自分たちのDNAに立ち返るデザイナーが目立ち、ここ数年でも類を見ない強いコレクションが揃った。生憎の曇天ながら、色遣いはビビッドでカラフル、キャストの人種も多様なランウェイが主流だ。
ケイト・スぺ―ド
「ケイト・スペード(Kate Spade)」は、創業者が6月に亡くなってから初となるコレクションを披露したが、やはりブランドのルーツに忠実なショーとなった。ニューヨーク公共図書館を会場に、前任デボラ・ロイド(Deborah Lloyd)の後を継いだ新クリエイティブディレクター、二コラ・グラス(Nicola Glass)がデビューを果たした。
キャンディーカラーのプリントや軽やかでソフトなシルエットが目を引いたが、中でもキーになるのはブランドのスペードロゴだろう。サマードレスやフルイドなシルクドレスに、パターンとして用いられていた。さらに、ライラックのラップドレスに、同色のブーツとクラッチをスタイリングしたモノカラーのトータルルックも印象的だ。
創業者の死でブランドへの郷愁を強く感じたというグラス。ブランドの基本や色使いを踏襲しつつも、ヴィンテージになることを巧妙に回避し、現代の働く女性に向けたコンテンポラリーな服を提案して見せた。
ロダルテ
「ロダルテ(Rodarte)」は、19世紀の墓石が残るニューヨーク・シティ・マーブル墓地でランウェイショーを行った。降りしきる雨も相まって幻想的な雰囲気の中、透け感のあるファンタジックなレイヤードドレスや、大ぶりのラッフルを施したレザーガウン、ギャザーを寄せたシフォンを何重にも重ねたルックが披露された。多くは、スペインのマンティージャレースやフラワーコサージュ、あるいは本物の生花をあしらって仕上げている。
軽やかでありながらエキセントリック、ダークで美しいコレクションは、ケイト&ローラ・マレヴィ(Kate & Laura Mulleavy)姉妹のクリエーションの中でも、群を抜いた出来だと言えるだろう。
クリスチャン・コーワン
「クリスチャン・コーワン(Christian Cowan)」は、トライベッカのメイン会場であるSpring Studiosにて、ロックでストリートなクチュールコレクションを見せてくれた。フロントロウにはクリスティーナ・アギレラの姿も。
ブラックのフーディーの裾にシルバーのスパンコールを散りばめたカクテルドレスには「CHRISTIAN COWAN SS19」の文字が踊ったほか、チェッカーフラッグチェックのジャンプスーツ、グリーンのメタリックカクテルドレスも目を引いた。しかし、中でもゼブラ柄のスパンコールカクテルドレスを、コンパクトなブラックレザーライダースと合わせたルックは印象的で、ジャケットの袖には無数の時計やリストバンドを散りばめた。足元には「ジュゼッペ・ザノッティ(Giuseppe Zanotti)」とのコラボレーションシューズをスタイリングし、フェザーで飾ったメタリックハイヒールなどが登場。ジャンニ・ヴェルサーチェ(Gianni Versace)の黄金時代を思い出させる才能と呼んでも過言ではないだろう。
ジョナサン・コーエン
「ジョナサン・コーエン(Jonathan Cohen)」のジョナサン・コーエンは、メキシコ系の両親を持つサンディエゴ生まれのデザイナーで、今年のCFDA/ヴォーグファッション基金アワード(CFDA/Vogue Fashion Fund Award)のファイナリストにも選出されている。
繊細な審美眼を持ち、パフォーマンスアートを愛するコーエンは、ボウェリーにあるギャラリーで素晴らしいショーを披露した。
クラシックカルテッドSterling Stringsが奏でるポップやロックのアレンジをバックに、15人ほどのモデルが歩いた。
「僕の好きなミュージシャンやバンド、ザ・キュアー、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、ローリン・ヒル、ケイト・ブッシュの4組にインスピレーションを得た」とコーエン。スカートやドレスには、歌詞までプリントされている。
独自のテキスタイルを開発したというコレクションでは、特にフラワープリントのシルクドレスや、マニッシュなグレーのチョークストライプジャケット、そしてシャツドレスなども良くできていて、インディーズアーティストのウィークエンドルックとでもいったムードが漂う。自分の美学に忠実な服作りを見せてくれた。
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