2012/08/08
PPRとYooxがブランドEC事業で合弁会社設立
2012/08/08
仏高級品グループPPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)とオンラインストア「yoox.com(ユークス・ドットコム)」を展開するYoox Groupは8月3日、パートナーシップを締結したことを発表した。これにより、PPR傘下の複数のラグジュアリーブランドに対してブランド単独のオンラインストアを企画・運営する合弁事業会社を設立。オンラインストアのサービス開始は2012年末頃を予定しているという。
新たに設立される合弁事業会社は、PPR傘下のラグジュアリーブランド「Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)」や「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」、「Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)」「Balenciaga(バレンシアガ)」 、「Sergio Rossi(セルジオ・ロッシ)」と協働し、ブランド単独のオンラインストアを企画・運営するための専門企業。PPRから51%、Yoox Groupから49%の出資を受けて運営される。
合弁事業の第1弾として、「Sergio Rossi」と「Bottega Veneta」のオンラインストアが2012年末までに開始され、2013年末までに中国を含めた世界規模で全てのデジタルストアをスタートする。2社間で合意された契約条件によると、PPRは今回含まれていない他のブランドに関しても将来的に同事業として運営していく可能性があるという。展開されるオンラインストアの商品構成やエディトリアルコンテンツなどはPPR側が手掛け、Yoox Groupの世界規模の物流システムを利用することで、世界100カ国以上に各ブランドの商品が提供可能となる。
「Bottega Veneta」の広告 |
パリ政治学院教授で高級品市場専門家のSerge Carreira(セルジュ・カレイラ)氏は、「今日のブランドにとって、オンラインストアはもはや欠かせない戦略要素」であり、「実店舗に匹敵する販売網となっている」と説明する。また、高級ブランドは「長期にわたり、高級品市場とインターネット販売は相容れないものとしてEコマースを拒否し、躊躇する傾向にあった」が、「オンラインショッピングのあり方が変化したことにより、こうした見解は変わりつつある」と指摘する。
高級品市場では依然として、Eコマースは副次的なアプローチであり、2011年の同セクター売上総額のうち、オンライン売上高は約4%に過ぎなかった。しかし、経済調査を専門とするXerfi Preceptaによると、Eコマースは急速な成長を遂げているという。イタリアの高級ブランド団体Altagammaは2011年末、高級品セクターのオンライン売上高は今後年間20%増加し、2015年までに110億ユーロ(約1兆670億円)に達するとの見通しを発表した。また、PPRは2020年までに、高級品部門とスポーツ&ライフスタイル部門のオンライン売上高は10億ユーロ(約970億円)を超えると予想し、Eコマースを最優先戦略として掲げている。
PPRのEコマース責任者、Federico Barbieri(フェデリコ・バルビエーリ)氏は、「インターネットビジネスは今後、オンラインでラグジュアリーなショッピング体験を提供するために、いかに革新的で独創的なソリューションを生かせるかが重要となってくる」と話す。
実店舗とは異なり、Eコマースは中国をはじめとする新興諸国市場など、世界中の地域に向けて展開が可能だ。LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)傘下の「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」は2005年にオンラインブティックをオープンした。2002年にインターネット事業を開始した「Hermès(エルメス)」は、高級品セクターではパイオニア的な存在だ。また、リシュモンは2010年、英オンラインショップ「net-a-porter(ネット ア ポーター)」を買収している。PPRのバルビエーリ氏によると、高級ブティックに入るのをためらいがちな人々にとってもアクセスが容易となるという利点がある。また、消費者はEコマースを大衆化とは見なしていないという。
また、オンラインストアを通して、若い客層を取り込むこともできる。Facebook(フェイスブック)のファンページで新しいフレグランスのサンプルを配布した「Burberry(バーバリー)」など、早い段階でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に参入したブランドも多い。
ただしXerfi Preceptaは、さまざまな利点がある一方で、特に高級ブランドは模造品流通のリスクも考慮すべきだと指摘している。
(1ユーロ=97円で換算)
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