2019/07/01
パリ クチュール:「クリスチャン・ディオール」の"カリアティード"
2019/07/01
「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」のクチュールコレクションでは、建築とファッションの相補的な関係が見事に提示されていた。
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は、今回ペニー・スリンガーによるセットを設置。モンテーニュ通りにあるメゾンのサロンが会場となった。ちなみに、本社社屋では数日後に改装工事が始まる予定だ。
ムッシュ・ディオール時代の輝かしい日々と、彼の黒へのこだわりを思い出させるコレクションだった。実際、8割のルックがブラックで構成されている。しかし一方で、キウリらしい現代的な女性像も感じられた。
また、今回は建築家で評論家のバーナード・ルドフスキーにも着想を得たという。ルドフスキーにとっての衣服は、人間に新しい形を与えるための骨組みだ。
内側に仕込んだ精密なコルセットと、過剰なほどに広がったドレスたち。フロアを引きずるようなレングスのフレアドレスは、メッシュとシフォン、シェニール、フェザー、ギピュールやレースを組み合わせて仕立ててある。
「偉大な女性たちやメゾンのミューズを尊敬しているわ」とキウリ。バックステージでは2回目のショーの準備で忙しい様子だった。
ペニー・スリンガーによる内装も素晴らしい。階段を通って4階分の高さで伸びる大きな木の装飾や白黒の絵画のバックでは、白いギリシャ風ドレスを纏ったカルテットがヴィヴァルディを奏でる。
プログラムには、「ドレスは建築と同じだ。女性の体のプロポーションを、より美しく整えるために考案された」というムッシュ・ディオールの言葉が記されている。
フィナーレにはムッシュ・ディオールも感銘を受けたことだろう。なんと、モンテーニュ通り30番地の建物をそっくりそのまま再現した金のコルセットが登場。"ムッシュ"が戦後にクチュールメゾンを開こうと考えたとき、最初に選んだ建物だ。
今後1年にわたってメゾン本店は閉店することになるが、その間はシャンゼリゼ通りに巨大ポップアップを開設し、本社機能もその上に移転するという。
「私もショップの上に移動するよ。下の階のキーも持ってね。オープンはパリ祭翌日の7月15日を予定している」とピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)CEO。
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