2019/03/04
パリ ファッションウィーク:「バレンシアガ」はパリのショッピング熱へ捧げる"賛歌"
2019/03/04
「バレンシアガ(Balenciaga)」が発表したコレクションは、パリとそのショッピング熱へのオマージュとなった。巨大なサウンドスタジオを舞台に、大きなストリートと化したアスファルトの床をモデルが急ぎ足で歩く。
100以上のルックが登場した大規模なコレクションは、今シーズンのパリでも際立っていた。ボリュームや意外性のある素材使い、そしてノーブルなシルエットといったメゾンのDNAを再解釈し、ドラマティックでモダンなファッションへと昇華させた。
デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が用意した会場には600人ほどが招待され、天井のライティングはショーの間中変化していた。ストロボライトに過敏なゲストは入場を控えるようにとの指示もあった。
「現代のパリスタイルを僕なりに表現した。『バレンシアガ』のコードを踏襲してはいるが、僕らしいやり方で取り入れた」ヴァザリア。
クリストバル・バレンシアガ(Cristóbal Balenciaga)のベビードールドレスや、コクーンコート、そしてキルティングのアウターウェアなど、アイコニックなアイテムを選んだ。
しかし、単なるオマージュでは終わらず、メゾンのコードをきちんと現代によみがえらせている。フルイドなテーラードには3Dモデリングを取り入れ、絶妙な匙加減で袖山を誇張してみせたり、他にも袖を持ち上げるようなシルエットが多数登場したものの、構築的なラインを描きながら生地自体は柔らかく体に沿う。
レッドやグリーンのラップコートにはたくさんのボタンをつけ、ヴァザリア流の"レトロ"を演出。パリでクリストバル・バレンシアガが全盛期を迎えた50年代を思わせる、バックが落ちたシルエットだ。
また、ロゴはやはりあらゆるところに見られ、メンズのブーツやレディースのエナメルシューズには金の「BB」の文字があしらわれている。ミニバッグやポーチ、ベルトのバックルからチャンキーなペンダントに至るまで、様々なアイテムに「B」が躍った。フルのブランド名は、ナイロンにフランネルのカラーがついたコートや、ワイドショルダーのコートなど、キーとなるルックの背中に大きく描かれている。
ちなみに、セットに用いられたアスファルトは実際に使われていたもので、パリ市との合意でショーへの再利用が叶った。その後はすべてリサイクルされる予定で、ここでも親会社ケリング(Kering)のサステナビリティへの取り組みを垣間見ることができる。
「ファッションにおける新しい道の象徴だよ。まだ匂いのするようなアスファルトがね」とヴァザリアは笑う。共産主義時代のジョージアから西洋の消費社会へ移ってきた彼の経験は、今回のショーにも表れている。モデルは皆ショッパーを模したバッグを持っていた。
「これはブランドの顧客に捧げる賛歌だ。ショッピングを楽しみ、ファッションを愛する人々が僕の観客だ。最近はめっきりパリの街に繰り出さなくなったけど、出かけると目にするのはこれさ!」。
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