2018/09/27
パリ ファッションウィーク:「メゾン マルジェラ」の反骨精神
2018/09/27
「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」がパリで見せたバイブリッドでジェンダーベンディングなコレクションは、新鮮な視点を呼び込むファッションの底力を感じさせた。
新作フレグランス「Mutiny」の名前と呼応するような反骨精神にあふれるショーは、キャスティングも含めてジェンダーレスなファッションを提案ていた。
会場となったグランパレでは、ショーの前に白黒のビデオがプロジェクションされ、ウィロー・スミス(Willow Smith)、プリンセス・ノキア(Princess Nokia)、モリー・ベア(Molly Bair)、ハンネ・ギャビー・オディール(Hanne Gaby Odiele)が出演した。「We´re willing to endure pain.(私たちは喜んで痛みに耐える)」、「I can break rock, I´m that strong. (岩だって砕ける。私は強い)」といった言葉が躍る。
そうして幕を開けたランウェイでは、カッティングが光るフェルトジャケットやポンチョ、ヘリンボーンツイードのジャケットや、オーバーサイズのトレンチポンチョなどが次々と登場。
小物使いも秀逸で、シルクハットにカットワークを施したカウボーイブーツ、ホワイトのパテントレザーでできたプラットフォームサンダルなど、マルジェラのDNAを受け継いだアイテムが多く見られた。
一見すると政治的なパスティーシュにも思われるが、カッティングの妙や新鮮なボリューム感、ステージングの上手さ、そしてジョン・ガリアーノ(John Galliano)のアイコノクラストな面が上手く作用して、素晴らしいショーに仕上がっている。
モデルのジェンダーもすぐにはわからないようになっていて、タキシードコートを纏っているのが女性なのか男性なのか、と首を捻る場面もあった。ターコイズのエナメルレギンスとい、カウボーイブーツ、それにツイードのジャケットを合わせたところへフローラルプリントのジャカードを大きく結んだルックは、果たしてメンズなのかウィメンズのものなのか。大きなボウはコレクション全体を通じて用いられていた。ハイブリッドな人間のための、ハイブリッドなファッションの提案だ。
「ウィメンズやメンズというジェンダーにとらわれずに、サイジング、カッティング、ドレープを追求した」とプログラムノートには記されている。コンセプトに対しても洋服に対しても大きな拍手が沸き起こったが、「マルジェラ」に就任して以来ジョン・ガリアーノはフィナーレに姿を現したことがない。
ショー直後には、会場の外の巨大LEDスクリーンに新作フレグランスのキャンペーンがプロジェクションされた。ストリートマーケティングとしても面白い試みだ。
他にもアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)などがジェンダーレスなファッションを探求して大きな成功を収めている。ガリアーノのアプローチには、対象に関心を持って寄り添う姿勢が表れていて、非常に好感が持てた。
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