ファッションは仏教と相性がいい？ミキオサカベが繊維ファッション産学交流会議で講演

　「ミキオサカベ（MIKIO SAKABE）」デザイナーの坂部三樹郎が、第21回繊維ファッション産学交流会議で講演を行った。ファッション人材を育むことを目的に開催された交流会で、同氏は「新時代のクリエーションとファッションの未来性」をテーマに繊維ファッション産学交流会研究委員の福永成明と対談。その中で坂部三樹郎は、モノとモノの間にある関係性がファッションの本質と言い、欧米よりも諸行無常の精神を持つ仏教を土台にしたアジア文化の方がファッションとの親和性が高いと語った。

　新しいジェンダレスファッションの提案やサブカルチャーとファッションを融合させたコレクションを発表してきた坂部三樹郎は、講演の中で独自のファッション論を展開。「アントワープ王立芸術アカデミーを主席で卒業し、「ラフ・シモンズ（RAF SIMONS）」などからの誘いを受けながらもなぜ日本で独立したのかという理由について語り、その中で論理的な価値基準と長期的な視点でのモノ作りを必要とするアートと、感覚的で消費サイクルが早いファッションとの差異を述べながら、欧州とアジアの違いについてコメント。「ファッションの本質は"もの"ではなく現象で、価値観や消費の仕方も時代や状況によってコロコロ変わるため、一貫性を大事にするアートの文脈で語る欧州より、姿も本質も常に流動的に変化すると捉える仏教を尊重するアジアのほうが親和性が高い」とし、西洋から発祥した現代のファッションは欧州よりもアジアの方が受け入れる土壌が整っていると述べ、そこからパリコレクションなど欧州を中心とするファッション産業構造の見直しの必要性についても語った。

　繊維ファッション産学交流会議は、産学連携を推進する繊維ファッション産学協議会が毎年主催しているもので、経済産業省と文部科学省が後援している。会場では文部科学省生涯学習政策局長の河村潤子による「生涯学習社会における職業教育の今後」をテーマにした講演が行われた他、グローバルな人材を育成する産学連携プロジェクト「進化と継承 ~テキスタイルとクリエーションの未来~」に参加した文化服装学院などの学生が制作した作品も展示された。