イタリア・ミラノで6月26日、2013年春夏ミラノ・メンズコレクションが閉幕した。イタリアバイヤーズ協会のBeppe Angiolini（ベッペ・アンジョリーニ）会長は、「今シーズンのミラノコレクションでは実にさまざまなスタイルが提案され、メンズファッションの際立ったトレンドは見受けられなかった。おそらく経済危機の影響もあるだろう。流行よりもスタイルを重視したコレクションが目立った」とコメントしている。今回のコレクションでは、近年売行きの伸びているブレザーやスーツといった定番アイテムに加え、カジュアルで着回しの効くアイテムなど、ベーシックなワードローブを提案するブランドが多く見受けられた。カラーパレットとしては、ホワイトが復活を遂げる一方、鮮やかな色合いや独創的なプリント柄も登場した。

ハイテクスタイルの「Burberry」とカラフルな色使いの「Ferragamo」 (photo PixelFormula)

　アグレッシブでセクシーな雰囲気は影を潜め、シンプルな中にエレガンスをたたえたスタイルが主流となっている。素材はますます洗練され、最先端技術を用いた超軽量素材のほか、軽やかなファインウールやカシミアといった上質な素材が使用されている。全体的なスタイルとしては、よりくつろいだ雰囲気の、柔らかなシルエットが特徴だ。また、クロップドパンツやスキニーパンツのほか、ハイウエストにタックをあしらったワイドパンツも増えている。ジャケットも丸みを帯びた柔らかなシルエットが多い。襟やボタンホールを違う色で強調した、50年代風の半袖シャツやポロシャツも人気。ショートパンツの丈は短めになってきている。超軽量のトレンチコートも見逃せない。来夏のもうひとつのマストハブ アイテムは、ボンバージャケット。軽やかなプリントシルクやコントラストを効かせた異素材ミックスなど、さまざまな素材使いが新鮮だ。

　腿まである長めのシャツや、ワンピース風のニットにも注目したい。今シーズンはユニセックスな雰囲気を感じさせるコレクションも多く、「Prada（プラダ）」、「Umit Benan（ウミット・ベナン）」、「Diesel Black Gold（ディーゼル ブラック ゴールド）」では、メンズとレディースのランウェイに同じアイテムが登場した。Miuccia Prada（ミウッチャ・プラダ）は、「社会やファッション界において、男女間の垣根を取り払い、ゼロの状態へと戻す時期が来ているのだろう」と分析している。メンズファッションは角が取れてより着心地良く、よりフェミニンになってきている。ボタンではなくレースアップのチュニックも、フェミニティを感じさせるデザインだ。また、どのコレクションでもフラットサンダルが頻繁に登場していた。

ピュアホワイトを取り入れた「Versace」と「Gucci」、シックだがくつろいだ雰囲気の「Umit Benan」 (photos PixelFormula)

　2013年春夏シーズンは、メンズファッションのカラーパレットも鮮やかになる。ネイビーブルーの代わりにロイヤルブルーが人気となり、サンフラワーイエローやターコイズ、ピンク、セラドングリーンといった華やかなカラーが主役に。幅の広いストライプや縦ストライプの人気も高く、新たな解釈を加えたマリンセーターも登場した。ネクタイにまでゴールドやメタリック素材を取り入れた「ハイテク」スタイルも目立った。

　アクセサリーでは、ゴールドチェーンやチャーム付きペンダントが存在感を放つ。カマーバンドをサッシュベルトとして使用したスタイルも個性的だ。