Reuters
2016/06/17
三越伊勢丹HD、価格帯は下げない方針
Reuters
2016/06/17
三越伊勢丹ホールディングズの大西社長はロイターのインタビューで、たとえ市場がデフレマインドに戻りつつあるとしても、同社が価格帯を下げるつもりはないと話した。
中国人観光客の"爆買い"ももうすぐ終息するだろうという見方を示した同氏。「中所得層の消費が低下している。観光客も、数自体は増えているが、一人当たりの購入額は下がった」。
「だからといって、価格帯を下げることは考えていない。我々の高級な位置づけを損なうことになるから」と話す。
インフレが思うように進まない中で消費者心理が冷え込み、ファーストリテイリングなど、一度決行した値上げの見直しを図る企業も出てきている。
政府のデフレ対策後、三越伊勢丹の売上は、特に高価格商品を中心に大きく伸びたが、16年始めからは減速が見られるという。5月は3ヵ月連続で総売上減少となり、前年同月比で8.7%と落ち込んだ。
対策として三越伊勢丹が打ち出すのは、アジア市場での更なる展開拡大だ。今後3~5年で、中国、マレーシア、シンガポール、台湾、タイにある既存の店舗を補完する形で発展させていくと話す。
また、本年は越境ECプラットフォームの開設も予定しており、主に中国人消費者をターゲットにする。
ここ2、3年、中国人の消費は落ちてきていると話す大西社長。中国人消費者の多くが本国での転売を目的に大量の商品を購入していたが、高級品に対する輸入関税引き上げの影響で、ここ数ヵ月はこうした消費の割合も減ってきているという。
訪日の目的に関しても、最近は観光に比重が移りつつあり、以前ほど買い物寄りの志向ではなくなってきているという認識だ。
16年5月には、訪日外国人の数は15.3%増を記録し、うち中国人の数は31%伸びた。20年の東京オリンピックまでには、この数字は倍になるだろうと言われている。
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