fashionsnap
2012/10/23
柄だけじゃないCuneの本気 2013年春夏コレクションの"気持ち悪い"ギミックを紐解く
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2012/10/23
「Cune(キューン)」が、初のランウェイショーを「Mercedes-Benz Fashion Week Tokyo(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」期間中に開催した。「気持ち悪い」というテーマや強烈なグラフィックもさることながら、高度なギミックが随所に隠されているという。そんな秘密めいた2013年春夏コレクションを紐解くため、デザイナー安田裕紀氏に単独インタビューを試みた。
「全てのグラフィックはセーレン株式会社によるインクジェットプリントで、パターンを含めた状態でプリントを施し、縫製でピッタリと合うように計算されて作られている」と説明する安田氏。ファーストルックのスーツを例にとると、ストライプも犬も全てがプリント。「全て合っているのかと思いきや、あえて一部分だけ柄をずらしたり、ストライプのピッチが微妙に違ったり」と、その意味不明さは半端ではない。さらには意図的なツレ、中心線やボタン位置の微妙なズレ、どう使っていいかわからないポケットなど「工場泣かせ」の特殊仕様が随所に施されているという。テキスタイルや縫製の高いクオリティを保ちつつプロダクト性が意識され、「量産工場のラインでサンプルを制作している」という点もこだわりのひとつだろう。
10月15日に渋谷ヒカリエ内の「ヒカリエホール」で開催されたファッションショーには、ホールBで記録的な動員となる観客が集まった。「最大限のクオリティを求めた」というヘアやメイク、スタイリング、そして大音量のライブ音楽と、全てにおいて「最高にアンバランス」のショーが繰り広げられた。安田氏は、「全く意味のない部分にこだわり抜いた。でもショーで見えたのは、そのごく一部」と話している。つまりその全貌は、10月末の展示会で明らかになるという。これまでは取引先のみの限定的な開催だった展示会だが、「今シーズンは初めて新規バイヤーやプレスにも公開する予定」だそうだ。謎が多くも「商品入荷日に6割が売れる」という脅威の売上を誇ってきた「Cune」の神髄を、実際の目で確かめるチャンスかもしれない。
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